『一瞬小説・超短編小説』なみのり 創作総合

140文字程度の一瞬小説をメインに、短い小説を作ります。 2019/08/17から、本格的に活動しています。

超短編小説 No8 『夜の街のソーダ水』

□1
街灯に照らされた静かな街並み。
藍色の空と、濃紺の空気。藍色の街。
ここは水没夜の街。
そこにはとある魔法使いが暮らしている。
彼女はまだ若いけど、それなりの苦労をしてきたもののような、老獪な雰囲気をユラユラと周りに漂わせる。
それでいながら目は楽しげなのだから、その全てが彼女の魅力なのだ。

□2
魔法使いはソーダ水片手に、フラフラ歩いて、ライトアップされた公園の池に空き瓶をポイッと投げた。
空き瓶は綺麗な弧を描いて、ポシャンと音を立てて沈んだ。

□3
しばらくして、空き瓶にパチパチと群がる光の群。
瓶はたちまちランプになる。
水面がボコボコ言い始めると、魔法使いは瓶を取り出して、灯りを売りに水没夜の街を彷徨い始める。